1、 不動明王像
不動明王は、仏教の諸尊のなかでも 観音、地蔵とともに「お不動さん」の呼び名で親しまれるほど人気の高い存在である。
密教の根本尊である大日如来の化身として、その悪魔を降伏するための憤怒の恐ろしい姿は、
現世利益をもとめる人々の厚い信仰を集めています。
2、矜羯羅童子(こんがらどうじ)像と制吐迦童子(せいたかどうじ)像
不動三尊形式では向かって右側に矜羯羅童子、左側に制吐迦童子に配置され不動三尊形式が有名です。
矜羯羅童子とは「仏法に従順である」という意味で仏像は女性的なお姿が多い。
矜羯羅童子は合掌して親指と人差し指の間に独鈷杵を持つもの、蓮華を握るものとがあり、下ぶくれのお顔が親しみやすいです。
制吐迦童子は従者の意で「仏法に従順である」を意味する。心を怒らせた悪性の者と説かれます。
仏像は男性的なお姿が多く不動明王の諸悪を撃退する忿怒形の表情・重厚感のあるお姿で怖いお顔をしています。
一般的に右手に金剛棒を持ち、左手は金剛杵を持つもの、肩を怒らせて棍棒をとる大げさなポーズをしています。
きかん気の強い鬼のお顔をしています。

【①作業前】
彩色下地が劣化、汚れも付着して、不鮮明な像になっています。

【②作業後】
泡洗浄後、顔料で仕上げました。
矜羯羅童子と制吐迦童子が逆になっていたので、修正しました。
よく似ている不動尊像がありましたので、参考に提示します。
矜羯羅童子と制吐迦童子は作者の思いがあり、自ずと異なります。

質 楠/樟(クス)
サイズ 高54×幅52×奥14cm(台を含む)
・不動明王:高48×幅23×奥14cm
・制多迦(せいたか):高20×幅14×奥8cm
・矜羯羅(こんがら):高21×幅9×奥9cm

横須賀市 長安寺 江戸時代作

高幡不動尊金剛寺 江戸時代作

真言宗智山派 円泉寺・江戸時代 群馬県県立歴史博物館 江戸時代
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